相続税の業務に従事していて、オモテに出る財産、つまり不動産や預貯金など以外で、オモテに出づらい財産の存在が、我々税理士にとっては調査に時間がかかるものです。
相続人の方は、ご依頼をいただくと、不動産と預貯金はたいてい把握しておられ、残高証明書も取得済だったりします。不動産も、場合によっては評価が難しいものもあってそれなりに大変ですが、名寄帳や登記簿謄本など公的機関から取得しやすいものです。
その一方、相続人の方があまり財産と把握していない、意外な財産が課税対象になります。
亡くなられた方が以前、ご家族の名義で作成した預貯金や、保険契約、生前の贈与などです。
被相続人が生前に、主体的に口座を作っていて、死亡後に代表相続人の方がご存じないという預貯金の存在があったりします。最近は、本人以外の預金口座はなかなか銀行等で作成できないことが多いですが、以前は、家族名義の預金は普通にできていました。
ですので、相続人の方と最初に面談するときは、ご用意いただく資料の打ち合わせで、過去10年分くらいの通帳をお預かりするようにしています。おおむね50万円以上の支出で、生活費等以外の支出があればお聞きするようにしています。通帳の動きで、大体は把握できます。
名義預金以外に多いのは、生前、お子様やお孫さんにお金を渡しているケースです。贈与税は、年間110万円以下は非課税です。ですが、相続税の申告の際に相続財産を取得する場合は、相続開始の前3年以内の生前贈与は110万円以下でも相続財産に加算されてしまいます。(被相続人と養子縁組をしていない、相続により財産を取得していない孫は加算されません。)
税務調査があると、調査官は表に出ている財産は大きな間違いなどがなければ、問題にならないことが多いですが、表に出ない名義預金や生前贈与は調査対象となります。
当事務所は、お亡くなりになった方のご生前のお金の把握に務めています。相続人様にお聞きしてわかる範囲は、課税上正しい方法で対処しています。
勤務税理士時代も含めて、ここ数年は税務調査は受けていませんけど・・・