夫の相続が発生して、財産の調査をしていますと、専業主婦の妻の名義で預金や有価証券を保有していることは、夫婦間ではよくあることです。今は比較的夫婦共働きが多いですが、相続が発生するような年代の方は妻は専業主婦か、兼業農家の農業か、パート勤務だったという方が多く、圧倒的に夫が収入を得て、妻は独自に収入があることは珍しいことが多いです。
このような場合、贈与契約書があるとか、110万以下で暦年贈与しているなどの物証がある場合を除いて、夫の相続財産に計上することが多いです。
決め手となる考え方は、①当該財産のもともとの出捐(お金の出どころ)は通帳などから夫であることが明らか ②管理は妻が行っているが便宜上、妻の名義にしているだけ ③妻が私的用途に費消していない。・・・などです。
この名義財産なのか生前贈与なのかについては、相続税においては取扱いが異なり、税務調査などでは争いのある所のようです。あくまでも状況を総合的に判断するということでしょう。
もうすぐ発表になる2023年の税制改正では、相続財産に、生前贈与の加算対象になるのが現状は3年ですが、この加算する年数を伸ばすようです。今の時代、長寿命になっていますから、仕方ない動きでしょう。
いずれにしても、名義にかかわらず、夫の財産なのか妻の固有財産なのか、生前のうちに整理しておくのも一つの方法です。